池宮正信さん 被爆ピアノでコンサート

Myoujitukan_3_pictures   【池宮正信さん
  新春ピアノコンサート】
    
1月29日(金)14時~16時
       自由学園明日館講堂



 池宮さんの帰国コンサートに行ってきました。今年は、東京・西池袋の明日館講堂という珍しい場所で。昭和2年建造の重要文化財だそうです。また、普通のピアノでなく「被爆ピアノ」を使ってのコンサートとのこと。一体、どんな趣向なのか……。

 開演20分前には到着したのに、もう長椅子の座席はほぼ満席でした。切符も売りきれているというし。ポツポツと空いている席を探して着席。
 間もなく主催者の挨拶が始まりました。被爆ピアノの説明。調律師さんの紹介……。今回のコンサートが、広島で被爆して現存するピアノを用いた特別なものであることがわかりました。被爆ピアノは現在全国に6台。そのうち4台を、広島の調律師・矢川光則さんが所有し、音楽を通じて平和を訴えるため各地を行脚しているとのことでした。4台のうち3台はヤマハですが、1台はドイツ製の「HORUGEL」。この日使われたのが、このドイツ製でした。
 このピアノは、爆心地から2.6キロのお宅にありましたが、爆風で破壊された家屋の中で奇跡的に生き残ったのだそうです。被爆後もずっとそのお宅で大切にされてきたのち、昨年(2009)矢川さんが引き取ることになったとのお話。「和子のピアノ」と呼ばれているそうです。ピアノの両側には、、このピアノが背負う祈りや願いを象徴するかのように、びっしりと折り鶴がかけられていました。

 ご挨拶のあとは、いつもの池宮さんのペース。クラシックはショパンやリスト、休憩をはさんでラグタイム。
 間に映像が入りました。講堂の舞台から真っ白な巨大スクリーンが降りてきます(古い建物ながら、新しい設備はしっかりある!)。池宮さんのアメリカでの自宅農園や地域での活動の様子が映し出され、そのバックに池宮さんが弾く「亡き王女のためのパバーヌ」や「乙女の祈り」が流れます……。完全無農薬の菜園といっても相当な規模のようで、生半可な家庭菜園ではありません。さまざまな野菜が作られ、収穫物はそのまま、あるいはピクルスやジャムになって貯蔵庫に保管されています。自宅脇には薪が積まれ、水もタンクに溜め、徹底的なエコと自給自足を目指しているとのこと。地域の方々との交流も盛んで、ホスピスで演奏や話し相手をしたり、地域の若者たちを受け入れたりと、すっかり「地元の人」となっている様子が映し出されていました。晴耕雨読ならず、晴耕雨弾?でしょうか。池宮さんご夫妻の理想的な暮らしぶりが伺われました。

 ラグタイム曲は、ゴッドシャルク「Paskinade」、ジョプリン「The Entertainer」、ユービー・ブレイク「Chavy Chase」「Charleston Rag」
、アダリン・シェパード「Pickels and Peppers」、ジュリア・L.ニーベルガル「Red Rambler Rag」、ボルコム「The Last Rag」。締めはガーシュインの「パリのアメリカ人」でした。

 終わったあと、数人が舞台の上でピアノを見たり、音を出したりしていました。え? 弾いていいの? 聞いたらOKだと。そこで何も考えず弾いてしまったのが「The Entertainer」でした。ああ~、恥ずかしい。池宮さん、ごめんさ~い! ピアノは鍵盤のタッチが深く、やや響き気味のところが古さを感じさせますが、しっかりした音が出るよいピアノでした。私の自宅ピアノは間もなく30年になりますが、このピアノほどではないと思いました。とはいえ、古いアップライトです。このピアノで、ショパンやリストのあの華麗な調べが、そしてユービーブレイクのあの力強いラグが演奏されてたなんて。やはり池宮さん、すごい。当たり前だけれど。

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 毎回サプライズつきの池宮さんコンサート。去年は、レ・フレールと一緒のツアーの一環で、満員のオーチャードホールだったし。またの機会が楽しみです。

右の写真は、池宮さんが昨年リリースしたCD「Joy of Ragtime」(喜びのラグタイム)。ジャケットには、メイン州での自宅農園の様子がパッチワークのようにレイアウトされています。
 14曲のうちレアなのは、ジョセフ・ラムが夫人のアメリア・ラムとともに作曲したという「Chimes of Dixie」(池宮さんの編曲)。ゴッドシャルクが2曲。エルネスト・ナザレが2曲あります。くわしくは池宮さんの下記サイトで。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~ikemiya/discography.html

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ケーク・ウォークあれこれ

 いつかやってみたいと思っていたことを、ピアノ発表会で実現しました。ドビュッシーの「ゴリウォーグのケーク・ウォーク」と一緒に、ホンモノのケーク・ウォーク曲を並べて弾くという企画……。11月8日、BXホールにて「ゴリウォーグのケーク・ウォーク」(1908)と「Smoky Mokes-Cake Walk and Two Step」(Abe Holtzman, 1899)を続けて弾きました。


「ケーク・ウォーク」とは何か

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 ケーク・ウォークというのは、19世末から20世紀始めにかけて流行したダンス音楽のひとつです。音楽は独特のシンコペーションのリズム、ダンスは足を前に高く上げて踊るスタイルでした。ルーツは黒人たちのダンス音楽で、この音楽で踊るコンテストも行われ、優勝者がケーキをもらったからケーク・ウォークと呼ばれるようになったというのが通説です。

 ところで、ケーク・ウォークってどんな曲だろうと、楽譜を集めているうちに気づいたことがありました。1899年に出版された楽譜が大変多いのです。もちろんすべて調べたわけではないですが、1899年に「ケーク・ウォーク」がブレークしたことは容易に想像がつきます。この年をケーク・ウォーク発生の年とする説明もあるようです。
 なお、当時の楽譜は今のピアノピースのような冊子ですが、ケーク・ウォークを名乗る楽譜は、その表紙の絵や写真がほとんどが黒人の顔だったり、姿だったり、「黒人」を強調しているのです。そして作曲者は、例外なく白人です。だから思うのです。黒人の音楽を強調した白人の商業音楽、これがケーク・ウォーク・ブームだったのではないか、と。

ヨーロッパに渡ったケーク・ウォーク
 このケーク・ウォーク曲を、ヨーロッパに渡ったジョン・フィリップ・スーザの楽団も演奏しました。その後、あるいはそれと前後して、パリやロンドンなどの夜の酒場でも、ダンサーたちがこのダンスを盛んに踊ったのではないかと思います。スーザの楽団は1900年のパリ万博でケーク・ウォーク曲を演奏したとのことで、ドビュッシーもどこかでこの音楽に出会っていたのでしょう。「ゴリウォーグのケーク・ウォーク」が入ったピアノ組曲「子どもの領分」("Children's Corner")がパリで出版されたのは1908年で、1899年のブレークから9年後のことになります。

どんなダンスだったか

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 ところで、ケーク・ウォークとはどんなダンスだったのか? 背中を反らし、膝を曲げた足を交互に、前に高く上げて踊るのた特徴だったようです。この様子は、楽譜の表紙にもしばしば描かれています。それがどう連続していたのか? 典型的と思われる映像が映画「桑港」(原題San Francisco1936)に出てきます。舞台は1906年、まさにラグタイムやケーク・ウォークが真っ盛りではやっていた時代、サンフランシスコ地震を背景に、当時のこの街のショービジネスの世界を描いた映画で、クラーク・ゲーブル主演です。この映画では夜のクラブのショーで黒人たちが集団で踊るシーンが見られます。その他、YouTubeなどでも古い映像が見つかると思います。

 「ゴリウォーグ」とは?

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 これは、本来はケーク・ウォークとは全く関係ない黒人の姿の人形です。イギリスの絵本作家アップトンによる人気のシリーズの主人公でした。アップトンは幼少時にアメリカに暮らしていたことがあり、この本のアイディアを練るとき、屋根裏にあった古い黒人のラグドール(ぼろきれ人形)から主人公を着想したといいます。イギリスではたいへん流行したようで、絵本のほかにも人形やキャラクターグッズが発売されました。ドビュッシーには英国趣味があったと言われますが、「子どもの領分」の原題がフランス語ではなくて英語であることからも、それは想像できます。娘のシューシューは、当時のイギリスの子どもたちと同様に、この絵本や人形で遊んでいたのかもしれません。なお、出版当時の「子どもの領分」(Children's Corner)の表紙には、このゴリウォーグの顔と思われる風船(?)が、象の人形とともに描かれています。

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 なお、上の写真がフランスで出版された「ゴリウォーグのケーク・ウォーク」の写真。版を重ねていて1940年台のものです。また下の絵本は復刻本ですが『ゴリウォーグのサーカス』というシリーズ絵本の中の一冊。ゴリウォーグ人形が他の人形たちと一緒にサーカスで活躍する物語です。中央の黒い人形が、リーダー役のゴリウォーグ君。最初に楽譜をオークションで入手、この「風船」な何だろうと思っていたのですが、のちに絵本を手にしてみて、「これは、明らかにゴリウォーグだ~!」と確信できました。それにしても、「Children's Corner」の表紙、なんともとぼけた絵で、おかし味があります。誰が描いたのでしょう? ひょっとしてドビュッシー自身???

弾き終えてみて

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 さて、この2曲を並べて弾いてみると、「タカンタンタン」という特徴的なシンコペーションは共通するものの、ドビュッシーのほうは、それがさまざまな表現記号で指示されていて、より複雑でニュアンスに富んだ表現になっているのがわかりました。やはりドビュッシーは天才。これは芸術だ! 一方アベ・ホルツマンの「スモーキー・モークス」はシンプルな楽譜表記。これって演奏者の手腕が別の意味で問われます。これが録音された数少ないピアノソロのCDを聞いてみましたが、楽譜どおりになんて弾いていません。メロディーは高いポジションでオクターブ奏法、華麗な装飾音を入れたりと、アレンジするのが当然という感じ。今回はアレンジの余裕なんてとてもとても……。とにかくまずは、楽譜どおりの「ケーク・ウォーク曲の原型のひとつ」を、ドビュッシーの「ゴリウォーグのケーク・ウォーク」と並べてみよう、そういう思いで弾きました。
 発表会のあと、面白かった!という感想を何人かの方からいただき、感謝。「スモーキー・モークス」を自分なりのアレンジを加えて弾くという、次なる目標もできました!

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「Devil’s Rag」とは!?

Dscf0184 今日はすごい演奏を聞きました。
サックスとピアノとパーカッションのコンサート、
「音の飛行機で旅して vol.2」。

第一部の「展覧会の絵」全曲(オリジナル編曲)もすごく面白い演奏でしたが、
第二部の冒頭が、この曲「悪魔のラグ」。
全然未知の作曲者Jean Matitia。
ヨーロッパ人?

始まった演奏は、物凄いスピードで、
息継ぎの暇もないような超絶技巧。
ピアノとサックスの掛け合いで、
ラグタイムのシンコペーションが超スピードで織り成されて行く……。
はあ~。
聞いているほうも、終わるまで息つく暇がないほど。
びっくりしました。

帰ってからネットサーフィン。
Jean Matitiaさん、
サックスとピアノの曲などを作ってる現代作曲家か?
ラグを冠するものは、Crazy Rag、Trap Ragなどの曲があるようです。

そして。
You TubeにJean Matitiaの曲のすごい演奏がありました!

★「Devil's Rag」
http://www.youtube.com/watch?v=CraI0RECh4c

★「Crazy Rag」
http://www.youtube.com/watch?v=OewPtiS9oNw&feature=related

★「Trap Rag」
http://www.youtube.com/watch?v=SSrqOjMp2EI&feature=related

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以上をミクシィ日記にアップしたら、
RagtimeCaveさんがリンクをたどって調べてくれました。

Jean Matitiaは、1952年生まれのフランスの作曲家。
本名はChristian Lauba(クリスチアン・ロバ)。
サックスのための曲をいくつも作っているようです。

管楽器のためのラグは、あまり知らないでいました。
こんな現代曲があるとは、大発見でした。

上のYouTubeから、ノベルティー・ラグのようだという指摘もいただきました。
なるほど言われてみるとその通り。
1920年代に流行ったノベルディー・ラグ、
超スピードの自動演奏ピアノを連想させるような、
でもそれをはるかにしのぐ生演奏でした。

なお「展覧会の絵」の斬新な演奏は、それだけでも感動もの。
大好きなのです、この組曲。
アンコールの「Pine Apple Rag」も心憎い演奏でした。
今度、打楽器を誰かに入れてもらって弾きたいな~なんて野望も……。

自分が今後弾いていく上でも、刺激と感動をもらえたコンサートでした。

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小樽で「El Choclo」を聞く

Photo 北海道訪問二日目は、小樽へ行きました。
印象的だったのは、何といっても古い建物とオルゴールですよ!

堺町地区から「北のウォール街」とも呼ばれた色内通りまでは、
明治中期~大正期の石造建築や石造倉庫が連なっていました。
近郊の凝灰岩を使っていたり、赤煉瓦造りだったり。
多くが店舗などとして利用されながら、現代に生きていました。
よくぞこれだけ時代の波を乗り越えてきたものだ……。

「小樽オルゴール堂」となっている建物は明治時代の精米会社でした。
1912年建造といえばラグタイム時代ではないですか。
入場料を払うのかと思ったら、さにあらず。
内部はオルゴール商品で満たされ、きらきら輝いていました。
そうか、オルゴール販売店だったのか……!
でもよく見ると、古いオルゴールも多く展示されています。
シリンダー式、円盤式、ストリートオルガン風からラジオまで。

大ホールから見上げると2階は回廊になっていて、西部劇の舞台みたいです。
しかし異国的な空間ながら、すりきれた木造の階段や手すりはなんともなつかしい感じでした。

オルゴール堂には2号館があり、 そちらはアンティーク・ミュージアムでした。
巨大なパイプオルガンがどっしりとあり、
大型のディスク型オルゴールや、からくり人形、
それに自動演奏のグランドピアノも!
これがスタインウェイ・デュオ・アートでした。
定時にデモ演奏があります。ワクワク。

Photo_2 店の人がピアノロールを設置していざ始まったのは、
タンゴの「エル・チョクロ」。
鍵盤がめまぐるしく動きつつ、
左手のタン・タ・タンタというタンゴのリズムが刻まれていきます。
演奏にニュアンスがあって、
自動演奏ながら機械的な感じがしません。
同じ自動演奏ピアノでも、
グランドピアノタイプは、アップライトに比べて、
非常に精巧に演奏者の動きを収録、そのせいでしょう。
その反面、生産年代も短く、レアなものだと思います。

演奏が終わってからピアノロールのリストを見せてもらったら、
なんと、なんと、Felix Ardntの演奏でした。
ピアノロール演奏や作曲では、Gershwinの先輩にあたる人。
Gershwinが、「Rialto Ripples Rag」を作曲した際は、
Felixのアドヴァイスもあったといいます。
小樽に来てこんなレアな演奏を聞けるとは、なんという出会い!
しかも大好きなタンゴですよ!
Felix Arndtの亡霊に出会ったような不思議な気分でした。

小樽オルゴール堂のスタインウェイ・デュオ・アートは1924年製だそうです。
実は以前に、目白のオルゴール博物館で、
やはりスタインウェイ・デュオ・アートの自動演奏を聞きました。
パンフを探したら、1920年代製とあり、脚部が凝った造りでした。

スタインウェイ・デュオ・アートというのは、
スタインウェイ社のピアノに、
デュオ・アート方式の自動演奏の仕掛けを組み込んだものです。
デュオ・アート方式は1913年に開発されましたが、
ペダリング、アクセント、音の強弱が再現され、
またその名称のとおり、伴奏部と旋律部が分かれてコントロールされていて、
それまでのアップライトピアノの自動演奏はもちろん、
他者のグランドピアノ用の装置とも一線を画するものでした。

自動演奏のグランドピアノの歴史は、
レコードの発達であっけなく幕を閉じてしまいますが、
名人の演奏が実物のピアノで再現されるという臨場感は何者にも変えられません。
今でもその価値は失われていないどころか、
デジタル音楽が氾濫する今、 かえって珠玉の魅力を感じられました。

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札幌ラグタイムクラブ初参加

P8010053 とうとう行ってきました。
創設一周年ちょっとの札幌ラグタイムクラブの会合へ。

ラグタイムやピアノ好きの皆さんが夜の酒場に集まって、
毎月のように弾き合いをしているというその現場。
今回は私が参加するのというので、わざわざ日程を合わせていただけました。

話には聞いていた巴里の裏町酒場風「ガンゲット・ダイマ」。
お店を経営する女性二人が、 アコーディオンでミュゼット音楽を奏でる素敵な店。
札幌でも「はずれ」感のある裏通りの一角に、その店がありました。

薄暗くなってきた夜7時、時間通りにたどり着くと、
すでに酒場から「Maple Leaf Rag」の演奏の音が~~~。
いや~、これは何という感激。
しかも「いらっしゃいませ」とで迎えてくれたのは、
自称「和風コスプレ」、着物姿のぴあにかさん。
店に入ると、ピアノを弾いていたのはらぐたろうさんでした。
最初から濃厚な展開です……。

次々に参加者が訪れ、 ピアノが競うように弾かれていきます。
自分が弾きたかったら、弾いてる人の横に座ってスタンバイしないと、 という状況……。
こんな場所って、現実に本当にあるんだ~、という驚きでした。

らぐたろうさんの「Root Beer Rag」や「Carolina Shout」はすごい迫力。
日頃の研鑚の成果でしょう。
ぴあにかさんとのブギウギ連弾は、以前に増してのノリノリぶりだったし。
お二人は相当ヒミツ練習をされていると想像……。

また、ぴあにかさんは即興で歌伴などをさらさら~っと。
本当に器用な方です。
気配りも素晴しいし、着付けも決まっておりました。

また、日頃は網走でひとりラグタイムを弾いておいでのモコティさんは、
レパートリーも多く、タッチが何ともやさしく素敵な演奏。
「Roberto Clemente」や「Heliotrope Bouquet」、
それに最後にバーで弾いてくださった「Bethena」が心に残りました。

ジャズヴォーカルの女性の方もすごかったし、
ラグタイムではないけれど、ウクレレやオカリナも、
みんな音楽が本当に好きなんだな~と、 心が弾むひと時でした。

この会のドンであり会長であるGranpa's Spellsさんは、
お仕事の流れで、仲間の方を連れて遅れて登場。
それぞれ外国暮らしの長いお二人は、
まあ本当にラテン系というかアフリカ系というか、
リズムで体が動く、動く……。
踊り続けておいででした。

Granpa's Spellsさんは、
ラグタイムが弾きたいがためにピアノを始めたのが70歳から。
そして、なんと昨年からアコーディオンも始められ、
そのアコーディオン演奏が何ともさまになっていて実に驚きました。
まだまだ、進化されると確信しました。

また、お店の女性二人のミュゼットは、
何とも実に味わいのある演奏。
事前にお二人の「ミュゼット小屋の夜」というCDを聴いていたので、
何だかなつかしいような心地にも。
コップに注がれた赤ワインを飲みながら、
巴里の裏町気分を味わえました。
(ワインをコップで、というのがポイントですよ! この店、さすがと思いました)

私もピアノをいろいろ弾かせてもらいました。
もうよく覚えてないくらいですが、
The Entertainer, Maple Leaf Rag, Kitten On The Keys,
Ragtime Nightingale, Heliotrope Bouquet, Wall Street Rag……。

「ウォール街のラグ」はらぐたろうさんにお願いして、
セクションごとにストーリーを読んでもらいました。
ジョプリンが英語で書いたものを、
翻案・脚色して持参しておりました。
この曲でいつかやってみたかった、演奏とトークのコラボ。
ピアノを弾く背後で笑い声が絶えなかったので、
多分、ぴあにかさんの即妙なパントマイムも入っていたのではと想像……。
東京でもやってみたいものです。
誰か、セリフ、読んでください~。

12時にこの店が終わった後は、なんとハシゴ。
すすき野近くにあるピアノバーで、また2時間ほどピアノを聞いたり弾いたり……。

翌日は筋肉痛。
考えてみれば、こんなにたくさん、
電子ピアノでないリアルピアノを、
数時間の間にたくさん弾いたのは滅多にないことでした。
ああ、自分は本当にあまりピアノを弾いていないんだなあと、
日常を振り返るきっかけにもなりました。
皆さん、レパートリーも増やしていて、
しかも暗譜で弾いていて、本当にすごい!
私も楽譜なしで弾ける曲を増やさなければ~~~。

心から楽しむとともに、刺激もたくさんもらった一夜でした。
やはり、札幌に行ってよかった!!!
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池宮正信&レ・フレール公演

7月24日は、オーチャードホールにて、
「Bravo! Piano 2009 Les Freres & Masanobu Ikemiya」の公演でした。

当日は各地から、ラグタイムがご縁で知り合った仲間が駆けつけます。
オーチャードホールに近づくにつれ、携帯電話が鳴る、鳴る……。
待ち合わせた人たちと会場に入るや、
即座に池宮さんの新発売CDをゲットしました。

ファースト・ステージに現れた池宮正信さんは、
白い衣装が神々しく、あたかも天上人のごとし。
そして奏でるは、「Maple Leaf Rag」、そして「The Entertainer」。
軽妙で、洒脱で、達観した遊び心があり、まさに天上の音楽~。
もう私には、ラグタイムの人間国宝に感じられました。

さて、そのあとが「ラグタイム講座」。
ピアノで実例を弾きながら、
普通の曲がどのようにラグタイムにアレンジされ、
ラグタイムがどう生まれていったのかというのを、
まざまざと解説してくれました。 
ラグタイムを知らない人には、
格好の入門になったことでしょう。

そのあとの「Chevy Chase」では、
観客に拍手のタイミングを説明し、
弾きながら笑いながらのコール&レスポンス。
二階席の隅々まで満員の会場全体を巻き込んで、
これも実に壮大で、楽しいひと時でした。

次はクラシックとラグタイムの関係をトークしたあと、
十八番の「Humoresque Rag」。
随所に出てくるクラシック曲の断片は、
ベーゼンのグランドの底力を見せつける素晴しさで唸りました。

その後は、舞台の大型スクリーンに映像を写しながら、
静かな3曲。
現代作家ボルコムの「Graceful Ghost Rag」、
ショパンの「別れの曲」とシューマンの「ショパン」(こんな曲、あったのですね!?)、
19世紀の作曲家ゴッドシャルクの「Souvenir do Porto Rico」。

この3曲の演奏時、舞台の大型スクリーンには、
メイン州自宅農園で池宮さんが
自然農法で作業する場面が次々に映し出されました。
また鍵盤を真上から横から次々に映し出すのも、実にありがたい趣向でした。 

さて、次いではもう1曲ゴッドシャルクで「Union」。
南北戦争時の北軍を応援する曲とのことで初めて聞きました。

池宮さん最後の曲は、おお、なんと!
敬愛するZez Confreyの「Dizzy Fingers」でした。
練習曲のようなシンプルな曲ですが、それを猛烈な速さで弾く曲です。
間にクラシックのいろいろな曲の一部をはさむアドリブも、
この曲ではよく行われますが、それもバッチリ!
いや~、この曲を生で聞いたのは初めて!
得した気分でした。

あっという間に1時間以上が経過していました。

そのあと、レ・フレールのステージ。
これはすごいパワーでした。
弟・圭土さんの「Boogie Woogie Stomp」は更なる熱演。
あの少年のように細い体と腕で、
体重が2倍くらいありそうなオッチャン(Albert Ammons)の曲を弾いちゃうのだから驚き。

札幌のラグタイム仲間の方が弾いている「For Kids」のホンモノも実によかったです。
スクリーンににレ・フレールが学校訪問したときの子どもたちの映像も流され、
子どもって本当にブギウギやノリノリの音楽が好きなんだな~と思いました。

さてさて、最後のアンコール局面で池宮さんも再登場。
三人で、Maple Leaf Ragの「ぐるぐるピアノ」。
ステージでということを越え、
池宮さんの純粋にうれしそうな顔を見ていて、
私もうれしくなりました。
この「ぐるぐるピアノ」、やってみたいものですね。
しかし昨日のステージはケーク・ウォーク風の走りも登場、
半分スポーツですね、これは。

ということで、熱いひと時が終わりました。
クールダウンするための二次会場にはなんと「神」も降臨。
そう、楽屋から池宮さんご夫妻がちょっと立ち寄ってくださったのです!
おおいなる感激でしめくくられた一晩でした。

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「ラグタイムとオバマ大統領」を見て

米国在住のピアニスト池宮正信さんが「ラグタイムとオバマ大統領」なる題で、テレビ出演するという。NHK教育の「視点・論点」という10分番組。放送は2009714日、夜1050分から……。池宮さんのHPでこの情報を見つけた時は、ラグタイムというマイナーなものと、オバマ大統領という最もホットでメジャーなものとを結びつけた演題の壮大さに驚くとともに期待もふくらみ、放映の日を心待ちにした。

実は、昨秋オバマ大統領が選ばれたとき、ラグタイム贔屓の私は、何となくスコット・ジョプリンに重ねて思いを馳せてしまった。両者の違いはあまりにも大きいが、百年を隔て、マイノリティの黒人が歴史のヒノキ舞台に登場したという点では共通しているのではないか? 池宮さんは一体どんな話をしてくれるのだろう?

 さて放送当日、画面に現れた池宮さんは、白ジャケットにピンクのシャツ、格子模様の白ベストに、ドット模様に見える白ネクタイという服装で登場した。「自分はアメリカに長く住むピアニストなのでこんな変な格好ですが」と自ら称していたが、学者や企業人などの堅気の人とは一線を画し、お洒落で品位に満ち、そして陽気と言えるくらい明るい、素敵なスタイルだった。

 まず、「The Entertainer」の曲のさわりが流れた。首で軽くリズムをとり、思わずほほえむ池宮さん……。

「楽しい音楽でしょう? これは映画スティングのテーマにもなっているジ・エンターテイナーです。ラグタイムの王様といわれるスコット・ジョプリンが、1902年にセントルイスで書きました。ジョプリンは奴隷の親から生まれ、他の黒人同様、社会のどん底からスタートし、ブレークした音楽家です。」

 そのあと、ラグタイムの定義の説明が続く……。

「ラグタイムは、黒人たちが、耳にしたことのあるメロディーを自分たちなりに遊んで作り出したのが始まりで、いろんな要素が含まれています。アメリカは先住民以外は移民の国だから、いろんな国から持ち込まれたさまざまな音楽、文化、考え、思想などが入り混じる、多様な背景があります。それをベースに、白人のマーチなどの音楽と、黒人の豊かなアフリカ的リズム、エネルギーが結合して、ユニークな、黒人でもない、白人でもない音楽が出来上がりました。……ですから、ラグタイムは誰もが親しみやすく感じ、誰からも受け入れられるのだと思います。」

 このあと簡単にジャズやブギウギの解説があったあと、いよいよ一転して本題。オバマ大統領に及ぶ前段階として、マーティン・ルーサー・キング牧師が1960年代に立ち上がった話が出る。

We Shall Over Come~、We Shall Over Come~」

アメリカ公民権運動の際にテーマソングのように歌われた「勝利を我らに」の冒頭が、池宮さんの朗々としたアカペラで流れる。

 池宮さんはかねてから、「愛、平和、非暴力」をテーマにかかげているが、キング牧師の運動はまさに、平和的な行進を通じ、非暴力をもって、差別待遇撤回の法律を獲得したものだった。

それから50年経って登場したオバマ大統領……。彼が選ばれたということは、差別や偏見が弱まり、黒人層や他のマイノリティにとって希望のもてる時が来たことだ、と言う池宮さん。そして一言「全然暗いところがないのが、彼のよさのひとつです」。これは本当にそうだ。陽気というほどでもないが、ポジティブで、明るく、悲観的なところが感じられない。そしてここが、池宮さんの言わんとする、ラグタイムに通じるところだった。

「私にとって、ラグタイムの魅力のひとつは、しいたげられた黒人たちが、その苦しみのマイナスを、ラグタイムという明るいポジティブなエネルギーに転換させたことです。どうしようもない逆境の中で、社会をののしったり、人生を嘆いたりするよりも、今、みんなで楽しくラグタイムで元気づけ合おう、と前向きなところが素晴しいと思うのです。」

公民権運動の非暴力もここに結びつく。ラグタイムを生み出した黒人たちは、テロや他者への攻撃に走るよりも、苦しみをラグタイム音楽というポジティブで明るいエネルギーに変え、日々の生活に耐えていったのだ。そしてオバマ大統領はやはり持ち前の明るい性格で、「自分のできることからしよう」と、人々に新しい、持続可能な、平和な世界を目指そうと呼びかけている……。これだったのか、オバマ大統領とラグタイムを結ぶ接点! 苦しみや逆境の只中にあっても、それを嘆くことにエネルギーを注ぐのでなく、ささやかでも自分の出来ることをして耐えながら、喜びと希望のエネルギーに変えていくこと。これが「ラグタイムとオバマ大統領」の主旨なのだ。

これはマイノリティの人々の生きるすべだったかもしれない。しかし今やすべての点で行き詰った大国アメリカ自体が、価値観を変え、その知恵に学ぶ時代が到来したのだろう。

私などは深く意味を考えることもなく、ただひたすら好きで弾いてきていたが、ラグタイム成立の現代的意味を、この番組で池宮さんに改めて教えてもらったように思った。そういえば、ジョプリンの「Wall Street Rag」は楽譜の中にストーリーが書いてある。簡単に要約すると、株価の上下に一喜一憂する仲買人たちが、ニグロのラグタイムを聞いて憂さを忘れて踊り出す、という内容だ。まさに、池宮さんの話してくれた内容そのものだ。ラグタイム音楽には、憂鬱やつらい気分をも明るく転換し、リフレッシュしてくれる力があるのだと思う。

先の見えない時代だが、それだからこそ、耐える力を与えてくれるラグタイム音楽で周囲の人も巻き込んで楽しいひと時をもち、明日へのエネルギーにつなげていきたいものだと改めて思った。

Viva ragtime!

*この文章は「札幌ラグタイムクラブ」会報第18号(2009年Summer号)に掲載されたものです。    

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池宮正信さん、テレビ出演予定

来週から、池宮正信さんとレ・フレールの国内ツアーが始まります。
久々に池宮さんのHPをチェックしたら、テレビ出演情報が!
NHK番組で、標題は「ラグタイムとオバマ大統領」!!

あまりの驚愕と喜びに平常心を失い、
日程の数字が目に入っても、
もう放送が終わったのか、これからなのか、
即座に判断がつかないほどでした。
大丈夫、これからです!

【視点・論点】 NHK教育テレビ・NHK総合テレビ
テーマ:「ラグタイムとオバマ大統領」
放送予定:2009年7月14日(火)NHK教育テレビ 22:50~23:00
再放送予定:7月15日(水)NHK総合テレビ 04:20~04:30

放送後に、放送原稿が「視点・論点」のサイトに掲載されるそうです。

私は、昨秋オバマ大統領が選出されたとき、
なぜかスコット・ジョプリンの顔写真が被って見えるような心持がしました。
比較するには客観的にはあまりに違いの多い両者かもしれませんが、
百年を隔てながら、アフリカ系アメリカ人として「白人社会」のなかで実力を認められて歴史のヒノキ舞台に登場した点は、
共通していると思うのです。
ラグタイムを最もよく理解する日本人であり、
長らくアメリカ社会で暮らす池宮さんがどんなお話をされるのか、
今からワクワク、大変楽しみです。

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ジョシュア・リフキンさん、新聞記事に

「日経新聞」2009年7月5日(日)に、
ジョシュア・リフキンさんへのインタビューが載っています。
バッハ演奏新解釈における指揮者としての業績とともに、
ラグタイム・リバイバルブームの火付け役、
バロック風ビートルズの演奏者などの側面を紹介していて、
よくぞ取り上げてくれたと日経の記者さんに感心。

ラグタイム部分を引用しましょう。
「スコット・ジョプリン再評価アルバムでラグタイム音楽ブームに火をつけ、このときはジョージ・ロイ・ヒル監督が映画「スティング」にラグタイムを採用するという副産物がついた」

ジョシュア・リフキンさんというのは、
スコット・ジョプリンの音楽を、
クラシックとして楽譜通りに弾いたレコードを、
1970年代に続けて発売し、
ラグタイム音楽リバイバルブームを巻き起こした音楽学者さん……。
というのは一般的な説明しか過ぎず、
ラグタイムに興味を持つ者にとっては、
何はともあれ「神」そのもの。
彼にとってラグタイムというのは自国アメリカの伝統音楽で、
幼い頃から親しみがあったものでした。
一方、ビートルズは英国音楽(といっていいかな?)であり、
このアルバム自体も自らの発想ではなく依頼のもの。
その辺りを鑑みて、もう少しラグタイムについて突っ込んでほしかった……。
などというのは、贅沢というもの。

日本のメジャーな新聞に、
「ラグタイム」という単語が載ること自体、非常にレアで、
これはまさに特記すべき事件でした。

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ゴスペル・レッスンより

ゴスペルレッスン、最近は後半しか参加できないことが多いのですが、
秋の発表会に向けて新曲が続々……。
歌詞を覚えていかないといけません。

先週のレッスンの最後にも、また新曲。
でもこれは、素敵になつかしい古い歌。
レッスン最後の一回がこれでした。

「O Come, O Come, Emmanuel」

「o_come_o_come_emmanuel_090625.mp3」をダウンロード

とっても心が落ち着くメロディーです。

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「すやすや姫物語」公演を終えて

P1010172_2 「花げし舎」のパペレッタ「すやすや姫物語」に、
楽士として参加しました。

会場のポレポレ・カフェは天井からバオバブの実、壁にはバオバブの影絵……。
せせこましい日常を忘れ、あわただしい本番前の神経も鎮まるような
ゆったり、まったりの空間でした。

ここに白い幕の舞台が設置され、開場を待ちました。

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音楽スタジオ「けやき」のホームページが

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新緑が目に眩しい季節。

都心の住宅地に隠れ家のようにある音楽スタジオ「音楽的自由空間けやき」のホームページができました。私がしばしば、ピアノ練習や録音に利用している場所です。
ここに二本あるけやきの大木も、今、一番美しい季節。見上げると新緑の枝が風にそよいでいました。

今日は午前と午後、利用しました。
午前は、友人と連弾の練習。ラグタイムとブギウギ。
午後は、人形芝居「すやすや姫」の練習。テーマ曲をちょっと編曲してみたり……。

家で弾くのと違って、よくこなれた音色のグランドピアノ、それが木造の室内によく響き、ポ~ンと単音を出すだけでも、音楽的に聞こえます。家の狭い居間にあるアップライトピアノでは、こうはいきません。高い天井、広い空間、木造り――それって、都心の暮らしでは非日常……。少しの贅沢を味わいました。

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「音楽的自由空間けやき」~貸しスタジオ・ピアノ練習室
東京都文京区千石3-36-1
http://keyaki.inukubou.com/index.html                        

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映画「ベンジャミン・バトン」とラグタイム

「おくりびと」がアカデミー賞外国語部門で受賞して話題になっていますが、 美術賞など三部門を受賞した「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」に、 スコット・ジョプリンの曲が使われています。 Granpa's Spellsさんから情報をいただき、さっそく見てきました。

おお!これは、すごい! 舞台が始るのは1918年のニューオーリンズ。 終戦に湧く町に流れるのは「聖者が町にやってくる」 そして生後すぐの主人公が捨てられる施設から聞こえてくるのが、 優雅なピアノのラグタイム……。これがスコット・ジョプリンの、 「Country Club」~「Elite Syncopations」~「The Chrysanthemum」 おおお~、豪華!

これだけでもラグタイム好きには堪えられないのに、 施設に入居している老婦人から主人公が習う曲、 それがジョプリンのラグタイム・ワルツ「Bethena」なのです この曲は映画の最後まで、 ストーリー上も重要な役割を担っています。 その他「Baisin Street Blues」「Billy Baily」「I Could be with you」など、 ニューオーリンズジャズもたくさん。 音楽が時代の経過を表すものとして、 綿密に計算して使われています。 それは調度品や服装も同じ。 本当に凝っています。

ストーリーはフィッツジェラルド原作で、 老人として生まれた男が、 80歳で人生を終えるまでに、 どんどん若返っていくというシュールなものですが、 この信じられない設定が全く荒唐無稽でなく、 それどころかリアリティーをもって迫ってくる、 ヒューマン・ストーリーです。

「Bethena」がメジャーに脚光を浴びた映画として、 私には記念碑的存在となるでしょう。 しかしラグタイムに特に興味がなくても、 心から感動できる映画だと思います 若返った主演のブラッド・ピットが、 ジェームス・ディーンのようにかっこいいオニイチャンになるのも、 見もの。

なお、2枚組みのサントラCDには、 ベシーナが収録されています。 http://www.universal-music.co.jp/jazz/compilation/benjamin_button/index.html

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「ゴリウォーグ」という用語

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サッチャー元英首相の娘(55歳)が、差別発言でBBC番組降板というニュースがありました。
アフリカ系のスポーツ選手に関して「ゴリウォーグ」という表現を使ったとのことで、問題になったそうです。番組終了後のプライベートな発言で、オンエアはされてないそうですが。

「ゴリウォーグ」という言葉、 現在のイギリスでは差別用語らしい……。
これは知りませんでした。

そもそもが19世紀末のイギリスの絵本の主人公の名前で、
黒い肌のラグ・ドール(ボロキレ人形)の名前。
ドビュッシーの「ゴリウォーグのケーク・ウォーク」という曲でも知られていますが、
ドビュッシーは、この絵本の主人公をモデルに曲を作りました。

シリーズ絵本のヒット以来、関連グッズが多数作られ、
今では、コレクターズアイテムにもなっています。
つい先日も、写真の本を求めたばかり。
クマのプーさん、ラガディ・アン、テディ・ベアとともに、
ゴリウォーグのさまざまなグッズが載っています。
意外だったのは、この本で一番ページが多く割かれているのが、
ゴリウォーグだということ。

本を眺めていると、日本人である私は、
ただただ微笑ましいだけですが、
もしかしてアフリカ人やアフリカ系の人が見ると、
違う感情を抱くのだろうか……?
そうなのかもしれません。

ゴリウォーグ人気は1960年代がピークだそうで、
その一方1950年代からこの言葉が、
アフリカ系の人を指す人種差別用語に使われ始めたとのこと。
そうだったんだ……。
http://en.wikipedia.org/wiki/Golliwogg

こんな様子だと、
ドビュッシーの「ゴリウォーグのケーク・ウォーク」は、
イギリスでは普通に演奏されているのだろうか?
微妙に避けられたりしていないだろうか?

どんな肌の色の人も宗教の人も、
笑顔で人類の過去の遺産を一緒に楽しめる時代が来てほしい。
それを願ってラグタイムやケーク・ウォークを弾いていきたいものです。

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ラグタイム情報サイト「RAGTIME IS A GOODTIME」

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日本ラグタイムクラブの仲間である「らぐたろう」さんが、
インターネット上でラグタイム情報を得たい人のために便利なサイトを開設してくれました。

「RAGTIME IS A GOOD TIME」
http://ragtime-goodtime.com/

こんな方にはぴったりです。

★ラグタイムの曲を試聴したい。midiが聴きたい。

★ラグタイムの楽譜をネットでダウンロードしたい。無料楽譜を探している。

★ラグタイムのCDを手に入れるにはどうしたらいいか。

★その他、ラグタイムに関することを知りたい。

私も、自分のブラウザの「お気に入り」に、こういうサイトを登録しているのですが、
こうやって一覧になっていると本当に便利です。
今後、ラグタイム情報を求める人に、大いに役に立つこと間違いなし。

ところで、リンク先の多くは英語のサイトです。日本にはほとんどなくてアメリカに豊富な情報、それがラグタイムでもあります。英語がちょっと苦手でも、知りたいことがあればわかってしまうから不思議。いろんな楽譜の表紙が一覧で見られるサイトもあり(たとえばコロラド大学など)、興味のある方は、ぜひポチポチされることをおすすめします。

ピアノとテディベアも、かわいいですネ

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