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ラグタイム拾遺-Top Liner Rag & Bohemia Rag

今日は Ragtime Treasures 収録のJoseph Lambの曲を、端から譜読みしてみました。この曲集は13曲入っていますが、1960年に亡くなったラムが晩年に手を加えてまとめていたものです。

解説もほしいので、Rags and Ragtime - A musical History (1978, Dover publication) の曲目解説と首っ引きでピアノに向かいました。そのうち、先日入手したばかりの They All Played Ragtime (1950) まで引っぱりだしてきて……。そうしたら、面白いことがわかりました。

Top Liner Rag (1916) ですが、ラムは Cottontail の名で発表するつもりだったのが、出版のStark氏の意向でトップライナーに変更されたそうです。道理で、Cottontail Rag (Ragtime Treasures 収録のもの) の最後に、トップライナーラグとほとんど同じ部分があるのです。2つの曲はいわば兄弟みたいなものなのですね。Top Liner Rag の表紙は立役者風(?)の赤いドレスの女性がほほえんでいて、そのうしろにカーニバルのような群集や提灯が見えて、私には違和感があって、あまり趣味のいい絵に思えないでいました。これがCottontail の名で出版されていたら、かわいいウサギさんの絵だったのかなあ……。それにそう思って弾いてみると、B部分のメロディーはウサギがはねているような躍動感にも感じられます。ラムには、Ragtime Nightingale (1915) やRagtime Bobolink という鳥の名を冠した曲がありますが、その中にもいかにも小鳥が枝をチョンチョンわたるようなイメージの部分があります。ラムは、自分のベストの曲は、American Beauty, Topliner, Patricia の3曲だと語っていますが、後年わざわざスターク氏とのこのエピソードを語っているということは、代表作と自認するTopliner が思い通りの曲名にはならず、Cottontail の名にこだわりがあったのかもしれません。だから、その後(なのでしょう)改めてCottontail の名を冠したラグを作ったのかもしれないと想像しました。

また、ラムのスターク出版時代最後の作品であるBohemia Rag (1919)ですが、弾くのに難しい調だということで、出版前にスターク氏は移調を依頼したそうです。しかし最終的にはオリジナルの調で出版されたとのことです。出版された楽譜はキーがGです。確かにB部分(第2主題というべきか)は右手がとても弾きにくいです。私もこの曲の中でもっとも苦手な部分で、よくとちります。試しにキーをCにしてみたら、確かに弾きやすい。でもこの曲独特の哀愁や陰影はやはりGでなくては出ないのでしょうね。

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ラグタイム」カテゴリの記事

コメント

益々素晴らしい解説となってきましたね。とても勉強になります。リンク完了しました。全サイトへ貼りましたので、3つあります。これで訪問殺到間違えなしですね。
皆さんにもラグタイムのお話たっぷりと楽しんでいただきましょう。
リンクはココログマイりストで、「人」とか「リンク」とか項目を選べば貼ることができます。勿論自分でその欄を作成する必要があるのですが、そう難しくはありませんよ。

真奈美ちゃんにBOHEMIA RAGの譜面を渡しました。新曲完成楽しみです。暑いですが、ピアノも頑張って下さいね。

投稿: 裕美・ルミィヤンツェヴァ | 2005/08/14 19時52分

裕美さん、リンクありがとうございます。
マイリスト、見てみますね。
Bohemiaは、ここのところようやく、ゆっくりのテンポでのる感触がつかめてきたかも、と感じています。相変わらず音をはずしますが……。真奈美ちゃんが弾いてくれるのも楽しみです。

投稿: ラゲディ・アン | 2005/08/14 20時22分

Top Liner Rag と Cottontail の話参考になりました 知りませんでした Top Liner Rag がCottontailの名で発表されていたら40年代?50年代でしょうか?作曲されたCottontailは違う名前か作曲されていなかったのではないでしょうか??
Cottontail ragはtop linerを下敷きにしたのでしょうかね?Cottontail ragはオルタネイトベールが前半でできませんし top linerより完成されてると思うのですがいつか弾いてみたいです 

投稿: sugou | 2005/08/15 23時51分

歴史に「もし」はないといいますが、Top Liner Ragがラムの意向どおりCottontail Rag の名で出版されていたら、sugouさんのおっしゃるとおり、現在のCottontail Rag は発表されてなかったかもしれませんね。Cottontail Rag は、版権取得が1959年、出版が1964年ですが、本当に作曲されたのはいつなんでしょう。冒頭の部分もTop Liner によく似ていてます。もともとTop Liner の草稿のひとつとしてあったものを後年完成させた、という想像もできますね。ラムの作曲技法を知る上でも興味深いかもしれません。いずれにしろ、兄弟関係の曲ということは明らかですよね。
私はTop Liner のほうが好きなのですが、Cottontailも弾けるようになりたいです(でも難しいんですよね……)。

投稿: ラゲディ・アン | 2005/08/16 22時13分

Re:タイサンボク(08/21) ragtimemaさん
ラゲディ・アンさん
>マグノリアが、フランス人の学者さんの名前に由来しているとは知りませんでした!
>マグノリア属にはいろいろあるのでしょうが、まずタイサンボクですよね。米国の服の柄にもタイサンボクの花をあしらったものがよくあります。
>うちの近くの小学校にある2本のタイサンボクは、大正4年の上野の博覧会に米国から持ち込まれたものだそうです。5月になると大きな白い花を咲かせます。常緑の厚ぼったいぼってりし葉は、いかにも南の地方の植物です。東京の植物園や公園、庭木にも多いです。私はとても好きで、いつも街をあるいていても「あるある」とチェックしてしまうのです。
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アンさん、書き込みありがとうございました。
この木を道で見かけた記憶は全くありません。もう少し注意深く今後は街を歩いてみます。

日本一大きいトラッド・ジャズ・フェスティバル、「神戸ジャズ・ストリート」が開催されている神戸にはこの木が沢山植えられているそうです。是非行ってみたいです。

投稿: 裕美・ルミィヤンツェヴァ | 2005/08/22 13時45分

ラゲディ・アンさん
>神戸に多いんですか! やはり外来樹木の移植は伝統ある港町とか首都とか、そういうところから始まって、縁が深いのかもしれませんね。古い学校なんかにも結構あるんです。ひょっとして横浜にも多いかも!? 花の終わった後は、よくアーティチョークの芯のような、びっくりするほど目立つ花殻がぼたっと落ちているから、見つけやすいかも。今度探してみてください。ルイジアナの州花の写真を検索してみたら、確かに日本で言うタイサンボクでした。日本に来たのは130年前ですって。文明開化の時代ですね。
> http://www.ne.jp/asahi/osaka/100ju/taisanboku.htm
>ニューオリンズジャズの歌詞に多いのは知らなかったので、私はそちらのほうを今後注意してチェックしてみたいです! まさに原産地なんですね。
>それにしても裕美さんのドレスの色、マグノリアの花のイメージにぴったりですよ。
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写真ありがとうございました。

マグノリアは 「DO YOU KNOW WHAT IT MEANS TO MISS NEW ORLEANS 」という曲にも出てきますよ。

なんだか葉っぱの形を見て、内のお庭にあるのがタイサンボクのように思えてきました。もしかして、もしかして・・・といった感じです。

投稿: 裕美・ルミィヤンツェヴァ | 2005/08/22 17時39分

DO YOU KNOW WHAT IT MEANS TO MISS NEW ORLEANS の歌詞、見てみました。ありますね。「満開のマグノリアを夢見る……」。故郷を懐かしむ歌で、マグノリアはミシシッピ地方の、ニュー・オリンズの象徴なんでしょうね。う~ん、我が家の周りにも多いんですが、今度はそういう目で、タイサンボクを見てみよう。いい勉強になりました!
裕美さん、ひょっとして庭先の木がそうだったら、ニュー・オリンズとは何かの因縁があるのかも!?

投稿: ラゲディ・アン | 2005/08/22 21時51分

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