« スクエア・ピアノーラグタイムを最初に奏でたピアノ | トップページ | ジャンルを超えてつながった線 »

もうひとつのPlangente演奏ー本場のブラジル風タンゴ

Plangente(1922)を演奏したCDがもう一枚ありました。イアラ・ベス演奏「ナザレー タンゴ、ワルツ&ポルカ集」です。

イアラ・ベスはブラジル生まれ、写真はとても魅力的な女性で、ブラジルで最も成功したコンサートピアニストと解説されています。そのPlangenteの演奏は、リズムは自由に粘り、強弱のメリハリも強烈で、やはりブラジル人の血を感じさせます。これと比べると、リフキンはクラシック的優等生、池宮さんはとてもアメリカンという感じがしました。う~ん、本場のブラジル風タンゴは、こうじゃなくちゃいけないんでしょうか! 

ナザレや収録曲の解説も、彼女自身が書いています。それによると、ブラジルのクラシック音楽は長いことヨーロッパ音楽そのもので、流行はすべて大陸からやってきたものでした。要するにオリジナリティがなかったそうです。しかし、生粋のブラジル音楽の作り手だったナザレは、このクラシック音楽界ではクラシックとは認められず、ピアニストでナザレの曲をレパートリーに含める人は稀だったとか。リオ・デ・ジャネイロの国立音楽院のコンサートでは、ナザレの曲を4曲含めたことに対する抗議を仲裁するために、警官隊まで呼ばれたことがあったそうです。激しい論争ですね。しかし、ナザレの音楽が嫌いなブラジル人は存在しないそうで、クラシックかどうかという議論を超えた存在がナザレなのでしょう。

しかし、ナザレがクラシックから学んだことは確かです。ショパンの楽譜をよく研究し、好んで弾いていたそうで、40曲はあるワルツの多くにショパンの影響が認められるそうです。

彼女の解説によると、Plangenteは悲嘆、哀歌の意。CD付属の日本語の腰巻(CDでの呼称は何でしょう?)には「悲しみ」とありました。ハバネラに最も近いスタイルで書かれたタンゴだそうです。また、タンゴが世界で最初に書かれたのは1871年のブラジルで、アルゼンチンより9年早かったとか(対抗意識がありそう)。また、ブラジルにキューバのハバネラが入ってきたのは1866年のことで、すぐに人気となり、そのハバネラにとてもよく似たスタイルの曲をタンゴと呼ぶようになったと解説しています。

●Plangenteは、今入手できる楽譜としては『ピアノ名曲集 アメリカン・ラグタイム2』(池宮正信編 東亜音楽社1997)収録のものしかありません。

|

« スクエア・ピアノーラグタイムを最初に奏でたピアノ | トップページ | ジャンルを超えてつながった線 »

ピアノ」カテゴリの記事

ラテン・タンゴ」カテゴリの記事

コメント

ナザレの曲、ここしばらくご無沙汰だったのですが久しぶりに聴いてみました。
ナザレの曲はクラシックなんでしょうか?
う~ん、ラグタイムがクラシックではなくてジャズでもないのと一緒なのですが、なんと呼びましょうか?
ブラジリアン・ラグタイムとはよく言ったものですね。

やっぱり、池宮さんのCD行方不明。
誰かに貸したままみたいです。

投稿: 草野 | 2005/09/15 22時37分

ブラジルでは、明らかに「クラシックではなかった」時代があったみたいですね。今はどうなんでしょう。国立音楽院での演奏がいつの時代かわかりませんが、美空ひばりが芸大で歌う、みたいな感覚? ちょっと違うかな……。

ジャンルの分類、むずかしいですね。

投稿: ラゲディ・アン | 2005/09/16 15時13分

Re:アーミッシュ・ピープル(09/15)
ラゲディ・アンさん

人形に顔がないというのはロシアの民芸品にもあります。魔よけに使われていますが、顔がないのはなんだか不気味です・・・。
懲役制といえば、ドイツでもそこから逃れる方法があり、政府宛てに作文を書くと、介護やらの社会福祉をするのみで済むとか・・・。(

投稿: 裕美・ルミィヤンツェヴァ | 2005/09/16 23時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/123768/5940155

この記事へのトラックバック一覧です: もうひとつのPlangente演奏ー本場のブラジル風タンゴ:

« スクエア・ピアノーラグタイムを最初に奏でたピアノ | トップページ | ジャンルを超えてつながった線 »