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『パリ左岸のピアノ工房』

アメリカ人作家の小説ですが、ピアノに対する目を開いてくれた本です。この本を読むまで、世界のピアノの最高峰はスタインウェイ、国産の最高峰はヤマハくらいの認識しかなくて、ピアノの銘柄やメーカーにはあまり関心もありませんでした。それが、プレイエルやベーゼンドルファーのようなヨーロッパ伝統の銘柄の存在や特徴を伺い知ったり、スタインウェイを超えるファツィオーリという、車で言ったらフェラーリみたいな、ものすごいピアノメーカーがイタリアにあることを知ったり、ピアノの世界の奥深さがわかり、本当に目からうろこが落ちるような小説でした。

ピアノが好きな人なら、ストーリーも十二分に楽しめます。家族でパリに移り住んだアメリカ人の中年男(作者自身がモデルか?)が、子どもを幼稚園に送り迎えする途中のピアノ工房が気になり、趣味のピアノを再開したい自分に気づき、余所者を受け付けないピアノ工房につてをたどって出入りし、ようやく中古のよいピアノを探し、レッスンも始め、どんどんピアノの世界にのめりこんでいくという、言ってみればピアノオタクの話です。ピアノに関する薀蓄に満ち、主人公の頭の中にはピアノしかない、という感じです。最後のほうにイタリアのファツィオーリの工場を訪れる場面がありますが、これは小説というよりはさながらドキュメンタリーのようで、作家の取材の様子がかなり実話で収録されているのでは、と想像されました。

●『パリ左岸のピアノ工房』(T. E. カーハート著 村松潔訳 新潮クレストブックス 2001年)

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コメント

う~ん、残念ながらこの本は読んだことがありません。
でも、読みたいので早速注文しましたよ。
実は知り合いに調律師さんまして、前にお酒の付き合いの中で
ピアノのメカニック的な話を聞いたことはあります。
お酒が入りすぎたのか話自体はよく覚えてませんが・・。(笑)

投稿: 草野 | 2005/09/27 23時35分

ピアノのメカニックな話、ピアノを弾くだけの人間はなかなか知りませんよね。でもヨーロッパって、古いピアノに手を入れて繰り返し繰り返し使うことや、ピアノを弾く人も多少はメカに通じていて、いろいろな楽器を試して納得いったら買うという伝統があるみたいだな、とこの本を読んで思いました。草野さんも本が到着したら是非お楽しみください。

投稿: ラゲディ・アン | 2005/09/30 21時25分

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