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Hal Isbitz, again

 Hal Isbitzの楽譜をぱらぱらと弾いてみて、
クラシックの基本にのっとった、非常に正確な楽譜だなあと感じました。
表現の指示語なども細かく、
また驚いたのは、指使いまで印刷されていることです。
それも、右手で音を上昇するとき、5の指の次に4を使えというような、
フクザツで迷うような部分に限って、ちゃんと書いてあるのです。
 個人的には、The Flirtにすっかりひきつけられました。多分、次に練習する曲はこれ?

 さて、Hal Isbitzの資料を探していたら、Rose Leaf Ragtime Clubのサイトに、
会員からのインタビュー記事がありました。そこから、興味深いことを拾ってみました。

 1931年4月9日生まれ。両親はポーランド系移民だったそうです。サン・フランシスコで生まれ、5歳でロス・アンジェルスに移動、現在に至ります。両親はクラシック音楽好きだったそうですが、もちろん音楽家ではありませんでした。
 9歳のときHalは、どうしてもピアノを習いたいと言い出します。折りしも不況で、両親は音楽家が経済的に苦しんでいるのを知っていたので、最初は賛成しなかったそうです。しかし息子の熱意に負けてとうとう許可、レッスンが始まります。家にピアノはなく、地域のセンターで練習する日々でした。ピアノを買ってもらったのは、彼の熱意が本物だと認められた5年後でした。
 ちょうどピアノを自宅で弾くようになった14歳のころ、ショパンに出会います。ショパンへの愛好はその後弱まることはありませんでした。音楽的な面はもちろん、自分と同じポーランドの出身ということも意識していたのでしょうか(インタビューには何も書いていませんが)。また特に習うこともなく、和声の基礎や耳で聞いてコードをとらえることは、たやすく習得したそうです。また友だちと即興演奏などもするようになり、作曲も始めました。
 UCLAへ入学すると、化学だった専攻をすぐに数学に変更。これが、のちのコンピュータープログラマーとしての職業に結びついたそうです。クラシックのレッスンも続け、USC音楽名誉教授Ernest Kranitzという人の個人レッスンを数年受けたそうです。
 ラグタイムとは徐々にであったようです。最初はクラシックラジオ局でMaple Leaf Ragを聞き、アミューズメントパークのミュージックボックスでAmerican Beauty Ragを知ったとか。そして、ジョシュア・リフキンの録音を聞いて、オーソドックスなラグタイムを知ることになります。
 また1973年、42歳のときに映画「スティング」が公開されたのは、ある意味転機だったようです。それをきっかけにラグタイムの楽譜がいきなり入手できるようになり、楽譜を買って読みはじめたそうです。その頃はまだコンテンポラリー・ラグタイムの作曲については知らなかったけれど、「ちょっとしたラグタイム曲」はいくつか作曲し始めました。
 また、Westwats Magazineに記事を書いていたDick Zimmermanに連絡をとり、Maple Leaf Clubのミーティングに出席するようになり、自分の曲をそこで披露するようになります。また、Tin Pan Alleyのラテン・リズムの数々と、ジョプリンの「ソラース」やマチューの「パスタイム・ラグ第5番」の類似性を常に感じていたところから、まもなくタンゴの作曲もはじめます。なお、このインタビューでは、ナザレに関する話は出てきませんでしたが、タンゴ曲集がナザレに捧げられていることから、あまりに当然のことで話題にのぼらなかったのかもしれません。
 現在までに60~70曲のラグ&タンゴを作曲しているそうですが、CDはやはり、ジョン・アーピンが演奏する「Blue Gardenia」だけのようです。このCDはNational Public Radioでもよく放送されていて、Amazon.comではクラシックのセールチャート第四位に達しているそうです。
 多くのラグタイマーが彼のラグタイムのベスト作品をChandelier Ragとしているそうですが、彼自身はインタビューに答えて、それを含めて4作品をあげています。
●「Chandelier Rag」(1987)……「Twelve Piano Rags」に収録。
●「Pearl Street Souvenir」 ……ジョン・アーピンとの出会いに触発されて作曲。楽譜は?
●「Carmel by the Sea」(1987)……「Twelve Piano Rags」に収録。
●「Opalescence」(1990)……「Twelve Piano Rags」に収録。Halの曲は演奏がむずかしすぎるという友人オパール・フラニーの要望にこたえて、やさしく弾けるように作曲された。その彼女に捧げられた曲。

 
 

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コメント

家にピアノはなく、地域のセンターで練習ですか! ここまでは僕と同じですね でもすごい経歴ですね 
これからどう音楽をやっていきたいのか課題としてあげてますまずは弾ける曲を増やすことしか考えてません それとDick Zimmermanのような演奏ができればいいですね 

投稿: sugou | 2006/05/22 18時21分

彼ほどの作曲家が、映画「スティング」がきっかけとは、意外でした。でも、あの映画をきっかけに、ラグタイムのリバイバル現象が起こり、CDや楽譜がば~っと世の中に出てきたんでしょうね。
sugouさんは、まだまだこれから。かんばってください!

投稿: ラゲディ・アン | 2006/05/22 19時31分

スティング2もあるんですよね Scott Joplinのビデオも見ましたが当時の雰囲気が十分味わえますのでおすすめです 英語がわからないので半分に分けて観ました(泣)

投稿: sugou | 2006/05/23 13時02分

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