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映画 『Scott Joplin』 (1977)の楽しみ方

_p9220088 スコット・ジョプリン(1868~1917)の教え子たちのことを書いてみましたが、
さて、伝記映画『Scott Joplin』に、彼らは登場していたのだろうかと気になりました。

この映画は1977年の作品で、ビデオは手に入りますが、英語版のみ。
日本語字幕つきは、ありません。
以前に一度見たのですが、
英語が早口で、口角泡を飛ばすような舞台劇風の口論が多くて、
何を言っているのか、さっぱりわかりませんでした。
(ゆっくりでも、わからないかもしれませんが……)。
台詞の応酬も、お金の問題やら、オペラがうまくいかないやら(想像)、
なんとなく、全体的に暗い印象……。
しかし、音楽や、町の様子、家具調度、服装、店の様子など、
ラグタイム時代の雰囲気を知るには絶好の映画です。
というか、この時代のラグタイムを真正面から扱ったものとしては、
おそらく唯一のものでしょう。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000053VWD/ref=pd_rvi_gw_1/503-7941449-3019149?ie=UTF8

http://www.imdb.com/title/tt0076674/

結論。
Arthur Marshall(1881~1963)やScott Hayden(1882~1915)の登場は、ありませんでした。
そのかわり、といっては変ですが、
ジョプリンがメープル・リーフ・ラグを出版する直前の頃のセダリアに、
天才的ラグタイム・ピアニストのLouis Chauvin(1881~1907)がいて、
ずっと盟友関係にあったように描かれています。
こんな史実があったのか???
Louis Chauvinはセント・ルイス生まれで、1899年当時は18歳。
上記の教え子二人と同年齢。ジョプリンより13歳も年下です。
ジョプリンは、セダリアに来る前はセント・ルイスにいましたが、
この時代のセダリアに、Louis Chauvinがいたという話は、
聞いたことがありませんでした。
しかも、出版前のメープル・リーフ・ラグを、
Chauvinが弾いている……!?
(マーシャルやヘイドゥンなら、わからないでもないのですが。)
やはり、史実とは違うようです、というか相当めちゃくちゃに違うみたい……。
映画評をいくつかのぞいたら、史実とは違うというのが、この映画の定評のようでした。
やっぱり。
この時代のジョプリンを描いていてScott Haydenが出てこないのはおかしい、
と書いている人もいました。

でも収穫もありました。
Louis Chauvin は「ルイ・ショーバン」と発音していました。
常識的なフランス語の発音です。

日本語のカタカナ表記も、これでいいですね。

それから見もののひとつは、Eubie Blake(1887~1983)の特別出演です。
ユービー・ブレイクは、映画出演当時、なんと90歳!
ミズーリ州セダリアのメープル・リーフ・クラブのオーナーの一人、
Will Williams を、かくしゃくと演じています。
映画では、このクラブで、賞金100ドルの「ピアノ・カッティング・コンテスト」が行われます。
向かい合わせに置いた2台のピアノを、
2人のピアノ弾きが同時に即興演奏。

優劣を聞き比べたところでオーナーのウィルが歩み寄り、
退場すべきほうのピアノの上のグラスを伏せます。
これをされたら、即刻退場、次のピアノ弾きに交代、というルールです。
かわいいおじいちゃんを、かっこよく演じていました。

それから、スコット・ジョプリンを演じている俳優、Billy Dee Williams。
彼は、映画『Star Wars EpisodeⅤ』(1980)で、
ハン・ソロ(ハリソン・フォード)の旧友ランド・カルリシアンを演じています。
ハン・ソロの宇宙船「ミレニアム・ファルコン」は、
もともとは
ランドの持ち物で、賭けに負けてソロに譲ったものという設定です。
スコット・ジョプリンを演じて3年後の出演ということになります。


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コメント

ああ、ハン・ソロの友人か!
イメージ近いですね。

私は未だにその映画を見たことがありませんが、ずいぶん前に輸入盤LPでサントラがあるのを見たことがあります。しかし、買うこともないと思って買いませんでした!

投稿: 浜田 隆史 | 2006/09/19 10時14分

私はこの映画を見ましたけど、実話とはかなり違うみたい。でも全体的には面白かった。Louis Chauvin 役の人の演技が上手かったし・・・

投稿: 裕美・ルミィヤンツェヴァ | 2006/09/19 15時13分

浜田さんは、たしか映画はほとんど見ないのでしたね。
音楽はDick Hymanですが、サントラのLPがあったとは! ハイマンの演奏なら、もっといいのがたくさんありますもんね。

投稿: ラゲディ・アン | 2006/09/19 17時49分

裕美さんはDVDで見たのでしたっけ。Chauvin役とか、他のピアニスト役とか、実際に達者に弾いているように見えたけれど、あれは演技なのですよねぇ……。それとも、実際にピアノ弾きが役を演じていたのかしら? 音はハイマンの演奏かもしれないけど。

投稿: ラゲディ・アン | 2006/09/19 17時54分

ご無沙汰しています。

映画の件、史実と異なる点は多々ありますが、ジョプリンとショーバンの<音楽家としての本質的な相違と対比>はうまく描けているように思われます。あとスタークの果たした役割とかも。

しかし日本語化されていないのは痛いですよね。細かい筋は10%位しか分かりません?! ただ、バーリン氏の著作を読んでいるお陰で、上記の対比の意図などは伝わってきた感じですが。

投稿: 青木 | 2006/09/21 21時39分

青木さん、お久しぶりです~!
 なるほど、そうですね。
【ジョプリンとショーバンの音楽的対比】。
これを描くのに焦点を当てたのかもしれませんね。映画が史実と違うのはよくあるし、かえって違うほうが、リアリティをもって表現できるということも、ありますよね。
スタークは、実像と俳優さんがそっくりでしたね! スターク像はおっしゃるように、よく描かれていると思いました。

これを書くために、青木さんの日本語訳を何度も読ませてもらいました。本当に、とてもありがたいです。
ほんと、映画の日本語訳、欲しいですね。あの、台詞の応酬には参りました……! 私も「粗筋」を自信をもって言えないところが残念です。


この映画のよい面でのご指摘、ありがとうございました。

投稿: ラゲディ・アン | 2006/09/21 22時04分

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