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スコット・ジョプリンとジョシュア・リフキン

_pa020160 映画「スティング」(1973)で使われて、世界中に広まったラグタイム音楽。
その原点のひとつが、ジョシュア・リフキン(Joshua Rifkin) のピアノ演奏による、この歴史的録音です。

Piano Rags By Scott Joplin vol.1 (1970) (写真左上)

映画「スティング」(1973)の監督ジョージ・ロイ・ヒルも、リフキンの演奏を聞いて、映画音楽へ使うことを思い立ったそうです。

なぜ歴史的かというと、それまでニューオーリンズ・ジャズなどの世界で、アドリブの対象として扱われていたスコット・ジョプリンの曲を、クラシック音楽家の目で歴史的に捉え直し、スコット・ジョプリンがピアノソロ用に出版した「楽譜通り」に忠実に演奏したものだからです。ジョプリンの楽譜は、クラシック音楽として見てもたいへん正確で、演奏記号も的確についています。また、ジョプリン生前当時、すでに「早弾き」されていたことから、わざわざ、早く弾きすぎないこと、ゆっくりと弾くことがテンポとして記されているものもあります。

リフキンの録音は、LPレコードとして1970年11月に発売。翌12月には米国ビルボード誌のベストセラーのトップを飾ったそうです。以後、第2集(1972)、第3集(1974)と発売されました。 それぞれ8曲ずつ、計24曲が収録されています。 

それをCDにしたものが、写真上に並ぶ3枚です。 70年が緑、72年が黄色、74年が赤のジャケットで、この3枚はLPジャケットをそのまま小型化した紙製のケースです。残念ながら、今は市場に出ていないようです。

現在手に入るのは、写真下のCD「Scott Joplin Piano Rags」。ここに第1~3集(全24曲)から17曲が選ばれ、たいへん求めやすい値段になっています。ジャケットは第1集と同じデザインです。 ワーナーミュージックから出ている日本語版では、「ジ・エンターテイナー~ジョプリン:ピアノ・ラグ集」(ジョシュア・リフキン ピアノ)という日本語のタイトルがカバー(書籍で言うなら「腰巻」。CDでは何と言うのでしょう?)についています。

ジョシュア・リフキン氏はクラシックの音楽学者でもありますが、子ども時代にニュー・オーリンズ・ジャズでよく弾かれる曲のひとつとして、ジョプリンのラグタイムをピアノでジャズ風に弾いていたそうです。
しかしクラシック音楽を学んだあと再びジョプリンの「楽譜」と出会います。演奏記号などが正確に記譜された楽譜を研究し、クラシック音楽として捉え直し、あえてクラシックレーベルからLPを発売しました。
晩年にオペラ作成に情熱を注いでいたスコット・ジョプリンですが、死後、クラシック分野から見直され、記譜どおり、望んだとおりに演奏してもらえたということは、ある意味でジョプリンの悲願だったかもしれません。

以下、上の写真のCDの収録曲です(青字のものは、4枚目の収録曲)

【Piano Rags By Scott Joplin】第1集(1970)収録曲。
1.Maple Leaf Rag (1899)
2.The Entertainer (1902)
3.The Ragtime Dance (1906)
4.Gladiolus Rag (1907)
5.Fig Leaf Rag (1908)
6.Scott Joplin's New Rag 1912)
7.Euphonic Sounds (1909)

8.Magnetic Rag (1914)

【Piano Rags By Scott Joplin】第2集(1972)収録曲。
1.Elite Syncopations (1902)
2.Eugenia (1905)
3.Leola - Two-Step (1905)
4.Rose Leaf Rag - A Rag Time Two-Step (1907)
5.Bethena - A Concert Waltz (1905)
6.Paragon Rag (1909)
7.Solace - A Mexican Serenade (1909)
8.Pine Apple Rag  (1908)

【Piano Rags By Scott Joplin】第3集(1974)収録曲。
1.Original Rags (arranged by Chales N. Daniels) (1899)
2.Weeping Willow - A Ragtime Two-Step (1903)
3.The Cascades - A Rag (1904)

4.The Chrysanthemum - An Afro-American Intermezzo (1904)
5.Sugar Cane - A Ragtime Classic Two-Step (1908)
6.The Nonpareil - A Rag and Two-Step (1907)
7.Country Club - Ragtime Two-Step (1909)
8.Stoptime Rag  (1910)

【Scott Joplin Piano Rags】収録曲(第1~3集で青字のもの
(邦題「ジ・エンターテイナー~ジョプリン:ピアノ・ラグ集」)

1.Maple Leaf Rag,2.The Entertainer,3.The Ragtime Dance,4.Gladiolus Rag,5.Fig Leaf Rag,6.Scott Joplin's New Rag,7.Euphonic,8.Elite Syncopations, 9.Bethena - A Concert Waltz, 10.Paragon Rag, 11.Solace - A Mexican Serenade, 12.Pine Apple Rag, 13.Weeping Willow - A Ragtime Two-Step, 14.The Cascades - A Rag, 15.Country Club - Ragtime Two-Step,16.Stoptime Rag, 17.Magnetic Rag

この記事を書くのに、以下のサイトおよびサイト運営者の方々のご助言を参考にさせていただきました。
Ragtime Betty http://www.ragtime-betty.com/index.htm
Ragtime Passion @ Guitar http://www.ragtime-passion.com/ 
Ragtime Cave http://www.pat.hi-ho.ne.jp/~giichi-oya/index.html

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コメント

サイトの紹介をして頂いてありがとうございます!

話はかわりますが、ヤマハのやっている音楽サイトがMixi的になっていて、なかなか使えます?!
ラグタイム曲をアップしている方もいらっしゃるので、興味がありましたら参加されてみては? Mixiと違って誰でも参加できますし、音源のアップが容易なのが利点です。

私はずっとサボッていたのですが、久々に手を入れだして、少しハマってきました?!(掲載のURLです)

投稿: 青木 | 2006/10/05 21時22分

何度もスミマセン、上記の名前のリンクから入って頂くか、下記のURLを引用してください!

http://players.music-eclub.com/?action=user_detail&user_id=934

投稿: 青木 | 2006/10/05 21時23分

青木様、
ヤマハのサイト、見てみました。
ほんとにmixiによく似ていますね。
音源のアップが可能というのは、さすがヤマハ!
探険してみますね。

青木さんはmixiは、入られてないのですよね。
私は始めて半年ほどになります。ラグタイムやDTRのコミュもあり、ピアノのコミュも盛んで、知人もいたりして、まあ不思議な社会です。ブログやHPと平行していると大変かもしれませんが、もしよかったら、青木さんならいつでも大歓迎ですよ! 実はジョプリンの記事なども、mixiで一度書いて、意見をもらったりして練り直し、ここにアップしていたりします……。

投稿: ラゲディ・アン | 2006/10/06 01時18分

ラゲディ・アンさん、ついにアマゾンから到着しました!
楽譜片手に、CDに聴き入っております♪
とても上品な演奏に、モーツアルトのような楽しさ、ショパンのような哀愁も感じ、つむぎ出されるようなピアノの音が心地よく、すっかり魅了されてしまいました!
まずは、The Entertainerをと思っているのですが、Elite Syncopations、Bethena - A Concert Waltzなども、弾いてみたいです♪
何か、ピアノのまた違った音色に触れた感じがします。
そして、いつまでも弾いていたくなる、不思議な感触でした。
西部開拓時代に、タイムスリップしたような気もして、アメリカ大陸で、こんな風にピアノが演奏されてたんだ~、と感慨深かったです。
気がつけば、ヨーロッパで生まれた曲ばかり弾いていたので。

また、質問に来させてください!!
自分のレッスン・ブログに、ラゲディ・アンさんとの出会いを書きたいと思いつつ、時間がとれずそのままになっていますが、また、その節はよろしくお願い致します。

投稿: ぼふふわ | 2006/10/10 16時10分

ぼふふわさん、やった~。来ましたね。
ラグタイムと素敵な出会いをされたようで、
私もとてもうれしいです。

The Entertainerはもちろん弾きたいですよね。でも、誰でも知ってるから、最初にElite Syncopationsというのもいいかもしれません。最初はやさしくて、最後の部分が最高にカッコイイよくてラグタイム冥利に尽きます。Bethenaもいい曲ですが、結構長いですよね。短めの曲をひとつレパートリーにするのがいいと思います。

ちなみに私は最初に、The EntertainerとMaple Leaf Ragの2曲を弾き始めました。でも、Maple Leaf Ragのほうが早くモノになりました。私があまりこればかり弾くので、子どもは、それぞれ「チンジャオロースー」、「マーボドーフ」と呼んでいました(自分の好きな食べ物の名)。英語の名前、覚えられなかったみたいですね~(笑)。

ラグタイムはマーチと共通の部分も多いです。運動会などでよくかかるスーザのマーチ。単純なようですが、左手をマーチのつもりでブンチャ、ブンチャと制覇しておくと、弾きやすいかと思います。

ぜひ、弾くことを楽しんでくださいね。ラグタイムって、実は、弾く本人が一番面白いのです(持論!)。

投稿: ラゲディ・アン | 2006/10/10 19時45分

ラゲディ・アンさん、こんにちは!
なるほどぉ、アドバイス、ありがとうございます。
夕べは、遅くまで、Elite Syncopationsばかり、弾いていました。止められなくなります^_^;
そうですか~、「チンジャオロースー」に「マーボドーフ」ですね!
Pine Apple Ragも、素敵なので、是非いつか弾いてみたいです。これも、有名ですが・・。

で、ラゲディ・アンさんのブログのことなどを、レッスン記で紹介させて頂きました<(_ _)>
何か、ありましたら、遠慮なく仰ってくださいね。
http://ciao.as.wakwak.ne.jp/11065/blog/

こちらのリンクに、是非入れさせて下さいませ。よろしくお願い致します。

>実は、弾く本人が一番面白いのです
今、実感しております~~♪♪

また、最後に質問なのですが、ペダルは、特に指示がなければ、なくてよいのでしょうか?

また、遊びに来ます~(*^_^*)

投稿: ぼふふわ | 2006/10/11 15時27分

ぼふふわさんも、とうとうラグタイム中毒にに……(笑)。
ご紹介とリンク、ありがとうございます。これから見ます。私もリンク入れますね!

ペダルの問題!最初から核心に迫ってくるとは、さすが、ぼふふわさん!
指示のないものが多いので、私も悩んだ時期があります。アレェクスェイさんのライブに行って、あの端正なお顔は見ずに、足元ばかり見ていたことも……。

今の結論は、「自分の感覚で、踏みたいときに踏む」です。答えにならないと思いますが……。
本当は、まったく踏まずに全部弾けたら、それはそれですごいです。
私は、Maple Leaf Ragは、ペダルを入れるときと、一回も入れない弾き方と、二通りやります。でもプロを見ていると、それとなくどこかに入れてると思います。

とにかく、ラグタイムは一般に歯切れよさが大切なので、入れすぎは禁物。入れないと音がつながらないときとか、入れたほうが効果的、ゴージャズになって素敵、というときに入れる!
こんな感じでしょうか。もちろん指示記号があったら入れますが。

あとは、自分の好きな演奏のCDを、耳を凝らして聞くことでしょうか
いろいろ、工夫してみてくださいね!

投稿: ラゲディ・アン | 2006/10/11 17時28分

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