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ラグタイム百科事典が発売

P5210019 新発売のDavid A. Jasenの”Ragtime :An Encyclopedia, Discogfaphy, and Sheetography”( Rootledge, 2007)が届きました。
Jasen氏は、私が日頃使うラグタイム譜のほとんどを編纂・出版している研究家。ラグタイムが出版された当時の「ピアノ・ピース」そのままのオリジナル譜を表紙とともに収めた楽譜集を、何冊も出版しています。
1937年生まれのJasen氏はまた、アメリカ随一のラグタイム&ポピュラー音楽研究家であり、楽譜や音源を収集した膨大な私的コレクションは研究者や公的図書館が照会するほどの存在。一方、幼児から音楽の才能をみせたピアニストでもあり、また英国のユーモア作家P.G.ウッドハウスの世界的研究者でもあるという稀有な人です。

今回の「百科」はなんとA4サイズ。厚み3.5センチ。大きいです。
中はすべてモノクロ。 貴重な写真や図版が結構大きく出ています。
表紙の二人は、左がScott Joplin、右がZez Confrey。
「そのココロ」は、ラグタイム楽譜をヒットさせた王者二人?
Joplinは1899年、クラシック・ラグの幕開け「Maple Leaf Rag」をヒットさせ、
Confreyは1921年、ノベルティー・ラグの先駆け「Kitten on the Keys」をヒットさせました。
この時代、ヒットというのはレコード(まだ普及していない)の売り上げではなくて、楽譜の売り上げでした。

全体として、アルファベット順に曲目などを解説する百科事典が大部分ですが、
付録として、次の3部が巻末にあります。
①ラグタイムのディスコグラフィー
②ラグタイムのピアノロールグラフィー
③米国で出版されたラグタイム楽譜リスト

事典部分は、楽譜も人名も語句解説もすべて一緒のABC順で、ちょっと見づらい感じもあります。
その中では楽譜名がほとんどで、人名はあまり網羅されていません。
著者のJasen氏本人や、Zimmerman, Tichenor, Bolcomなど限られた人の項目はありますが、その他の現代のラグタイム・アーティストは、あまり見当たりません。
また語句解説というのが、短いものはなくて、ragtime, ragtime publications, ragtime as a form and a fadなどのように論文調の長いものが挟まっていて、できればこういう「論文項目」は別ものとしてまとめてほしかったかも。

P5210020 ①に関してはLP時代までが網羅してあるようです。すべて曲名のアルファベット順。
②もアルファベット順で、曲ごとにロール出版社名と番号が。
③も同様。範囲はほぼノベルディー・ラグ時代までで、リバイバル時代以降の曲はごくわずかです。

以上、「ないものねだり」ばかりあげつらってしまったかもしれません。
でも、ラグタイムに関する貴重な参考書であり、 内容を読んでいけば「あ!」と思うことがいろいろ出てくるはずです。

著者のDavid A.Jasen氏、この前の著書である”That American Rag”(2000)では、ラグタイムを、その発生&作曲された地方別解説していました。
この百科事典も、ラグタイム研究やちょっとした調べものの基本文献となるはずです。

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