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映画「プリティ・ベビー」を見て

P1010304 映画「プリティ・ベビー」、
待望のDVDが出たので、見ました。

ジェリー・ロール・モートンをモデルにしたピアノ弾きが登場、
それを影で演奏するのがBob Greeneさんという、
この映画の本筋ではないかもしれない目的で……。

本来は、巨匠ルイ・マルの監督で、
ブルック・シールズのデビュー作、
しかも少女娼婦として登場するスキャンダラスな側面を持つ作品、
というのがこの映画の一般的評判かと思います。

しかし、1917年当時のニューオーリンズの娼婦宿の描写は、
調度や服装、風俗なども含めて圧巻でした。
デカダンス的ノスタルジーと取る人もいるでしょうが、
私にはそれを越える表現に思えました。

また、13歳の娼婦として登場するブルック・シールズ。
その美しさに息を呑む人や、
ロリコン的興味を抱く人もいるのかもしれませんが、
私は逆に、いかにもその年齢の子どもらしい演技をさせていることに、
監督の力を感じました(同監督の作品「地下鉄のザジ」を彷彿とさせます)。
初めてのお客をとる儀式の前後の痛々しさ、
それを無言で受け止める周囲の感情も素直に表現されていました。
娼婦の産んだ子どもたちが文盲のままそこで成長しているという現実も、
また淡々と描写されていました。

映画の最後のシーンはあっけなく、
見終わったあと、いろいろな感情が渦巻き、
その音楽とともに、いつまでもいろいろなシーンが印象に残る映画でした。

ルイ・マルがこの映画について何か語っているか?
探したら、インタビュー映像が見つかりました。
カンヌのビーチで、ブルック・シールズらも含めた席で、
インタビューを受けています。
私のプアで怪し気な耳で聞き取った範囲ではありますが、
面白いことを言っていました。
http://www.ina-festivaldecannes.com/index.php?vue=notice&id_notice=I00019661&lng=en

いわく……。
この映画は「女性の世界」を描いているように見えるけれど、
描かれる娼婦たちも、お客の男性たちも「オブジェ」であって、
「対象物」である点では、男も女も同じだよ。
だたし、例外的な登場人物が二人いる。
それは写真家のベロニックと、ピアノ弾きの男。
とにくこのピアノ弾きは、ジャズの演奏が素晴しく、
自分が今まで作品に採用した中でも最高の音楽だった。
ニューオーリンズの新しい時代を構成する重要な音楽だよ。
とくにジェリー・ロール・モートンがね。
だから、この映画は、
この男性たちの物語なんだよ。
この言葉で締めくくっていました。

「フェミニズム的視点から見たらどうでしょう?」、
と突っ込むインタビュアーをかわすトボケぶりもあったのかもしれませんが、
案外、これが真実なのでしょう。

映画の最後に流れるクレジットにも、
Jelly Roll Mortonに捧げるという文字が、
大きく出ていました。
モートンとその時代へのオマージュ、
そういう目的だったのでしょう。

ということは、私がこの映画を見たいと思った目的も、
案外、的外れではなかったようです。

その音楽、本当に素晴しかったです。
哀愁を帯びた味わいのあるピアノのメロディー、
どうやったら、こんな弾き方ができるようになるのだろうか。
モートンやラグタイム音楽の本質もまた、
再現されているかもしれないと、思いました。

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