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小樽で「El Choclo」を聞く

Photo 北海道訪問二日目は、小樽へ行きました。
印象的だったのは、何といっても古い建物とオルゴールですよ!

堺町地区から「北のウォール街」とも呼ばれた色内通りまでは、
明治中期~大正期の石造建築や石造倉庫が連なっていました。
近郊の凝灰岩を使っていたり、赤煉瓦造りだったり。
多くが店舗などとして利用されながら、現代に生きていました。
よくぞこれだけ時代の波を乗り越えてきたものだ……。

「小樽オルゴール堂」となっている建物は明治時代の精米会社でした。
1912年建造といえばラグタイム時代ではないですか。
入場料を払うのかと思ったら、さにあらず。
内部はオルゴール商品で満たされ、きらきら輝いていました。
そうか、オルゴール販売店だったのか……!
でもよく見ると、古いオルゴールも多く展示されています。
シリンダー式、円盤式、ストリートオルガン風からラジオまで。

大ホールから見上げると2階は回廊になっていて、西部劇の舞台みたいです。
しかし異国的な空間ながら、すりきれた木造の階段や手すりはなんともなつかしい感じでした。

オルゴール堂には2号館があり、 そちらはアンティーク・ミュージアムでした。
巨大なパイプオルガンがどっしりとあり、
大型のディスク型オルゴールや、からくり人形、
それに自動演奏のグランドピアノも!
これがスタインウェイ・デュオ・アートでした。
定時にデモ演奏があります。ワクワク。

Photo_2 店の人がピアノロールを設置していざ始まったのは、
タンゴの「エル・チョクロ」。
鍵盤がめまぐるしく動きつつ、
左手のタン・タ・タンタというタンゴのリズムが刻まれていきます。
演奏にニュアンスがあって、
自動演奏ながら機械的な感じがしません。
同じ自動演奏ピアノでも、
グランドピアノタイプは、アップライトに比べて、
非常に精巧に演奏者の動きを収録、そのせいでしょう。
その反面、生産年代も短く、レアなものだと思います。

演奏が終わってからピアノロールのリストを見せてもらったら、
なんと、なんと、Felix Ardntの演奏でした。
ピアノロール演奏や作曲では、Gershwinの先輩にあたる人。
Gershwinが、「Rialto Ripples Rag」を作曲した際は、
Felixのアドヴァイスもあったといいます。
小樽に来てこんなレアな演奏を聞けるとは、なんという出会い!
しかも大好きなタンゴですよ!
Felix Arndtの亡霊に出会ったような不思議な気分でした。

小樽オルゴール堂のスタインウェイ・デュオ・アートは1924年製だそうです。
実は以前に、目白のオルゴール博物館で、
やはりスタインウェイ・デュオ・アートの自動演奏を聞きました。
パンフを探したら、1920年代製とあり、脚部が凝った造りでした。

スタインウェイ・デュオ・アートというのは、
スタインウェイ社のピアノに、
デュオ・アート方式の自動演奏の仕掛けを組み込んだものです。
デュオ・アート方式は1913年に開発されましたが、
ペダリング、アクセント、音の強弱が再現され、
またその名称のとおり、伴奏部と旋律部が分かれてコントロールされていて、
それまでのアップライトピアノの自動演奏はもちろん、
他者のグランドピアノ用の装置とも一線を画するものでした。

自動演奏のグランドピアノの歴史は、
レコードの発達であっけなく幕を閉じてしまいますが、
名人の演奏が実物のピアノで再現されるという臨場感は何者にも変えられません。
今でもその価値は失われていないどころか、
デジタル音楽が氾濫する今、 かえって珠玉の魅力を感じられました。

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札幌ラグタイムクラブ初参加

P8010053 とうとう行ってきました。
創設一周年ちょっとの札幌ラグタイムクラブの会合へ。

ラグタイムやピアノ好きの皆さんが夜の酒場に集まって、
毎月のように弾き合いをしているというその現場。
今回は私が参加するのというので、わざわざ日程を合わせていただけました。

話には聞いていた巴里の裏町酒場風「ガンゲット・ダイマ」。
お店を経営する女性二人が、 アコーディオンでミュゼット音楽を奏でる素敵な店。
札幌でも「はずれ」感のある裏通りの一角に、その店がありました。

薄暗くなってきた夜7時、時間通りにたどり着くと、
すでに酒場から「Maple Leaf Rag」の演奏の音が~~~。
いや~、これは何という感激。
しかも「いらっしゃいませ」とで迎えてくれたのは、
自称「和風コスプレ」、着物姿のぴあにかさん。
店に入ると、ピアノを弾いていたのはらぐたろうさんでした。
最初から濃厚な展開です……。

次々に参加者が訪れ、 ピアノが競うように弾かれていきます。
自分が弾きたかったら、弾いてる人の横に座ってスタンバイしないと、 という状況……。
こんな場所って、現実に本当にあるんだ~、という驚きでした。

らぐたろうさんの「Root Beer Rag」や「Carolina Shout」はすごい迫力。
日頃の研鑚の成果でしょう。
ぴあにかさんとのブギウギ連弾は、以前に増してのノリノリぶりだったし。
お二人は相当ヒミツ練習をされていると想像……。

また、ぴあにかさんは即興で歌伴などをさらさら~っと。
本当に器用な方です。
気配りも素晴しいし、着付けも決まっておりました。

また、日頃は網走でひとりラグタイムを弾いておいでのモコティさんは、
レパートリーも多く、タッチが何ともやさしく素敵な演奏。
「Roberto Clemente」や「Heliotrope Bouquet」、
それに最後にバーで弾いてくださった「Bethena」が心に残りました。

ジャズヴォーカルの女性の方もすごかったし、
ラグタイムではないけれど、ウクレレやオカリナも、
みんな音楽が本当に好きなんだな~と、 心が弾むひと時でした。

この会のドンであり会長であるGranpa's Spellsさんは、
お仕事の流れで、仲間の方を連れて遅れて登場。
それぞれ外国暮らしの長いお二人は、
まあ本当にラテン系というかアフリカ系というか、
リズムで体が動く、動く……。
踊り続けておいででした。

Granpa's Spellsさんは、
ラグタイムが弾きたいがためにピアノを始めたのが70歳から。
そして、なんと昨年からアコーディオンも始められ、
そのアコーディオン演奏が何ともさまになっていて実に驚きました。
まだまだ、進化されると確信しました。

また、お店の女性二人のミュゼットは、
何とも実に味わいのある演奏。
事前にお二人の「ミュゼット小屋の夜」というCDを聴いていたので、
何だかなつかしいような心地にも。
コップに注がれた赤ワインを飲みながら、
巴里の裏町気分を味わえました。
(ワインをコップで、というのがポイントですよ! この店、さすがと思いました)

私もピアノをいろいろ弾かせてもらいました。
もうよく覚えてないくらいですが、
The Entertainer, Maple Leaf Rag, Kitten On The Keys,
Ragtime Nightingale, Heliotrope Bouquet, Wall Street Rag……。

「ウォール街のラグ」はらぐたろうさんにお願いして、
セクションごとにストーリーを読んでもらいました。
ジョプリンが英語で書いたものを、
翻案・脚色して持参しておりました。
この曲でいつかやってみたかった、演奏とトークのコラボ。
ピアノを弾く背後で笑い声が絶えなかったので、
多分、ぴあにかさんの即妙なパントマイムも入っていたのではと想像……。
東京でもやってみたいものです。
誰か、セリフ、読んでください~。

12時にこの店が終わった後は、なんとハシゴ。
すすき野近くにあるピアノバーで、また2時間ほどピアノを聞いたり弾いたり……。

翌日は筋肉痛。
考えてみれば、こんなにたくさん、
電子ピアノでないリアルピアノを、
数時間の間にたくさん弾いたのは滅多にないことでした。
ああ、自分は本当にあまりピアノを弾いていないんだなあと、
日常を振り返るきっかけにもなりました。
皆さん、レパートリーも増やしていて、
しかも暗譜で弾いていて、本当にすごい!
私も楽譜なしで弾ける曲を増やさなければ~~~。

心から楽しむとともに、刺激もたくさんもらった一夜でした。
やはり、札幌に行ってよかった!!!
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