Raggedy Ann その2― ミュージカルになったRaggedy Ann

P1010167 ラガディ・アンは、アメリカのカントリー・ドールとして知られています。そもそもは、漫画家ジョニー・グリュエル(1880~1938)が病床の愛娘に語った話をもとに作られた絵本の主人公で、1915年に特許取得後、1918年に絵本が出版され、人形も発売されました。お話の主人公ラガディ・アンは人形で、髪の毛はぼさぼさ、青の花柄ワンピース、白いエプロンをして、足には赤白の横縞の長靴下をはいた姿で、ストーリーの中で活躍します。発売された人形の左胸にはハートの絵柄と、I love youの文字が描かれ、当初はその胸の中にキャンディーが入っていたそうで、買ってもらった子どもが人形の布を切り裂いてキャンディーを取り出して問題になった(?)という話を、昔どこかで読みました。とにかく、大変な人気だったそうです。今に至るまで、人形ばかりでなくプリント地や食器類、文具など、キャラクターとして根強い人気を保っています。ちなみに私が毎日使っているマグカップも、ラガディ・アンの柄……。写真はオリジナル・ストーリーと絵が入った普及本です ( 1991, Derrydale Books, New York )

ophelia_ragbig ラガディ・アンが人気を博したのは、ちょうとラグタイムの時代が終わりを迎えつつある頃でした。その少し前、似たような姿のキャラクター、オフェリア・バンプスを創作して新聞連載した漫画家に、クレア・ビクター・ドウィギングス(1874~1959)がいました。このオフェリアは、ジェームス・スコットのオフェリア・ラグ(1910)のタイトルにもなり、楽譜の表紙にも使われています(左の写真)。

raggedy_ann_ それなら、大人気となったラガディ・アンもラグタイム曲になっていないだろうか? 荒唐無稽の想像をしたのですが、なんと、ブロードウェイのミュージカルになっていましたThe Stepping Stones というタイトルのミュージカルで、当時人気の喜劇俳優Fred A. Stone とその娘のDorothy Stone が出演したようです。しかも作曲はジェローム・カーン、作詞はアン・コードウェルというベテランでした。その楽譜の表紙がこれです。額縁の中にいるのがアンで、それにもたれているのがラガディ・アンディというボーイフレンドです。ブロードウェイでは1923年11月から翌年の10月4日まで上演されました。この中に一曲、Raggady Annという曲があるのでした。いまだに楽譜は入手できないでいるのですが、曲はフォックス・トロットだそうで、音源のサンプルなどは聞けます。

そして、この曲はなんと、ミュージカル終演直後の1924年10月9日、ガーシュインのラプソディ・イン・ブルーが初演された歴史的コンサートで披露されています(ニュー・ヨーク、エオリアオン・ホールにて)。ちなみにノベルティー・ラグの名曲である Zez Confrey の「鍵盤の上の子猫」や、Irving BerlinAlexander’s Ragtime Band も、この時、演奏されました。

●Fred Stoneについてですが、Silks and Rags や Ma Ragtime Babyなどのラグタイム曲で知られるFred S. Stoneは、デトロイトで活躍したミュージシャンで、別人のようです。音楽家Fred S. Stoneの生没年はよくわからないのですが、ある私的サイトで1873~1912とありました。それが本当なら、喜劇俳優のFred A. Stone(1873~1959)とは、同じ年の生まれということになります。俳優のFred Stoneは「オズの魔法使い」(1903年上演)のかかし役もしています。

●この記事は、JRC通信第12号(2005年2月12日発行。日本ラグタイムクラブ会員に配信のもの)に投稿したものをもとに、加筆しました。

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Raggedy Ann その1

アメリカの田舎町に3年近く住みました。最初に生活物資をそろえるのですが、まあ、お金のないせいもあり、どこの店に行っても中国製の安物ばかり。大量の食品が並ぶ巨大スーパーにもおいしい食べ物は少なく、ケーキは最悪にまずいし、もののわかった人は性能のよい日本車に乗っている。自然はすばらしいのですが、人の作ったものでアメリカに「何かよいもの」はないのか? しかし、しばらくして見つかってきました。家具やカントリーグッズ、伝統のキルトなどがそれです。

ある日、手芸店の小冊子で見た人形の写真にひきつけられました。赤毛の髪がボサボサのいかにも大雑把に手作したという感じの人形。これを何としても自分で作ってみたいと思いました。それが Rageddy Ann でした。日本語にすれば「ぼろきれ人形のアン」でしょうか。そっくりに作りたいと思いました。型紙は売っているのですが、写真のように古色を帯びたビンテージ風の生地が見つかりません。そのうち紅茶で染めて古色を出す方法を知りました。また、ある日、さらに田舎に行った場所に一軒家のキルトショップを発見。そこにはあらかじめ古色を帯びたようにプリントされたコットン生地が並んでいて、私には宝の山でした。私が選ぶ生地を見て、お店の人に「あんたは、カントリー・カラーばかり選ぶね」と言われました。それで、こういう生地をカントリー・カラーと呼ぶことを初めて知りました。19世紀以来の生活様式を守って電気もガスもない農耕生活を送る Amish の人も生地を買いに来るような店でした。その店で念願の赤白ストライプの古色生地(靴下用)も入手し、数カ月がかりで人形ができました。手足の先には香りをつけた米が入り、重さがあるのでいろいろな姿勢をするときに表情が出ます。また服に隠れて、左胸には I love you.の文字とハートのマークがあり、おへその部分には白いボタンがついています。 ( 1992, Made in U.S.A.. See the profile picture. )

なお、Raggedy Ann は、日本ではほとんど「ラガディ・アン」と表示されています。私のニックネームはちょっと違えて、ラゲディ・アンです。コメント等をくださる方、長くて面倒なら「ラゲディ」とだけ呼びかけてください。どうぞよろしくお願いします。

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